ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

Melvins 「Pinkus Abortion Technician」

Alternative・Sludgeの大御所であるMelvinsの1年ぶりとなるアルバム。

 

彼ら特有の悪ふざけと癖の強さを随所にちりばめている。何よりもベースがButthole Surfersのジェフ・ピンカスとRedd Krossのスティーブン・マクドナルドというツインベース体制によるアルバムとなっている。今作はオリジナル曲が5曲とカバーが3曲収録されている。アルバムのオープニングを飾るのはButthole Surfersの「Moving to Florida」とJames Gangの「Stop」のメドレー曲、「Stop Moving to Florida」で強烈に幕を開ける。また、8分近くある「Don't Forget To Breathe」は遅めのテンポで怪しげに反復していく、気味の悪いコーラスが癖になる曲である。また、The Beatlesの代表曲である「I Want to Hold Your Hand」をMelvins流の癖の強いアレンジを加えた轟音が効いている楽曲となっている。アルバムのエンディングはButthole Surfersの「Grave Yard」で幕を閉じる。全体的に変態気味の楽曲が並んでおり、わずか38分なのにカロリーがとても高いアルバム。

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7.5/10.0

Earthless 「Black Heaven」

カリフォルニアのサンディエゴのスリーピースバンドである彼らの5年ぶりとなる4枚目のフルアルバム。

 

インストバンドとしてよく知られている彼らであるが今作では収録されている6曲のうち4曲でギタリストであるIsaiah Mitchell がボーカルを担当している。強烈なギターサウンドと反復するリフがサイケデリックな世界へと聴き手を誘う。あくまでもインストバンドであっただけあって歌よりも楽器陣の演奏が楽曲の主役であって、ギターソロなどのインストパートのほうが歌よりも研ぎ澄まされているような風格さえある。特に「Electric Flame」の後半のジャムパートと表題曲の「Black Heaven」は3人が鎬を削っているかの如く激しい応酬がある。さらに「Sudden End」では哀愁漂うイントロからの寂しげな歌のメロディーが荒野の中にいるかのような気分になる。ただ爆音でけたたましい音でサイケデリックさを生むだけでなく、泣きのギターで聴き手をトリップさせるのは彼らの真骨頂であろう。8分を超える長尺な曲が3曲と、大胆にボーカルを入れてくるアルバムで、彼らの新境地へと進みつつも激しいサイケデリックでブルージーさがこれでもかと詰まっている。

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8.4/10.0

Sleep 「The Sciences」

2018年の初っ端に初来日を果たし、地下に潜るドゥーム・ストーナーファンを狂喜乱舞させた大御所Sleepが最後の作品となっていたDopesmoker以来となる15年ぶり(完全な新作としては19年ぶり)となる復活作。アルバムの公開日は世界マリファナデーでもある4月20日と凝っている。Sleep's Holy MountainやDopesmokerを土台にしつつもさらに強靭で低音の効いた轟音の低速リフが延々と繰り返され、今まで以上に遥か彼方を目指しているといったような仕上がりである。聖なる山やエルサレムを目指していた彼らはジャケットにあるかの如く宇宙へと飛び出していったアルバムである。

アルバムのオープニングを飾るのは「The Sciences」というおよそ3分の短い(?)ギターのインストで幕を開ける。そこから唐突に唸りを上げる楽器陣が鼓膜を揺さぶってくる「Marijuanaut's Theme」はDopesmokerのような音の壁によるリフとOMを彷彿とさせるような呪術的なぶつくさと唱えるボーカルが癖になる。そこから畳みかけるようにDopesmokerの完全版に収録されている12分超の大作である「Sonic Titan」へと続いてゆく。さらにそこから単音リフで幕を開ける14分超の「Antarcticans Thawed」へと続てゆく。ひたすら地を這うかの如く続くシンプルで単調なリフが聴き手を宇宙へと連れていく。そして彼らの音楽性の原点といえるBlack Sabbathのベーシストであるギーザー・バトラーの名前を冠した「Giza Butler」はその名に恥じない印象的なベースリフで幕を開け、洪水のようなギターリフが襲ってくる。特に最後の部分の盛り上がり方と激しさは白眉である。そしてアルバムぼ終曲である「The Botanist」は侘しさが漂う、まるで漆黒の宇宙空間に一人でいるかのような寂しさと静けさが轟音の中にあるエンディングに相応しいインストナンバーである。ただ終わり方が若干不完全燃焼気味である。

わずか6曲であるが53分という長いのか短いのかよくわからないアルバムであるが確実にエルサレムよりはるか彼方へ連れていかれ、尚且つ聴きやすいアルバム。

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8.5/10.0

Teenage Wrist 「Chrome Neon Jesus」

2018年発表のLA出身のスリーピースバンドによるデビューアルバム。

 

90年代の様々なオルタナグランジ界隈やハードコア系統からの影響が感じられる。シューゲイザーのように轟音かつファジーなギターサウンドとダイナミックなドラム、そしてグランジのように気怠げなオルタナ調のメロディがジャケットにあるかのようなメランコリーな雰囲気を醸し出している。アルバムのオープニングを飾る表題曲の「Chrome Neon Jesus」では静かなイントロから強烈なファジーなギターサウンドが展開していき、途中日本語のポエトリーディングが曲の気怠げなメランコリーな雰囲気を更に加速させる。また「Swallow」ではディストーションの金属的な激しい熱いギターソロが魅力的である。ただ轟音というだけでなく「Supermachine」では静かなアコースティックギターもある。それにより激しいドラムと轟音が更に際立っている。シューゲイザーのような轟音だけでなくDinosaur Jr.のような図太いベースと感情的なギターソロ、スマパンDeftonesのようなファジーな音が心地よい。最近のオルタナバンドの中でも注目していきたいバンドの一つだと思う。

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8.4/9.0

THE BACK HORN 「情景泥棒」

2018年発表のインディーズ期以来となるミニアルバム。

 

不気味なジャケットとは打って変わってオープニングを飾る「Running Away」はマリンバの音がうまくハマっており、ベースを軸としながら疾走感のあるメロディが駆け抜けていく。「儚き獣たち」ではイントロのベースのタッピングによる高速フレーズやその後もうねるように暴れたり要所要所で静と動を使いわけ聴き手を興奮させるようなフレーズが多い。「閃光」では切なさが溢れるような歌詞がいかにも青春パンクっぽさがある。このミニアルバムの中でジャケットのような不穏で不気味な「がんじがらめ」はファンキーで軽やかなギターに呪術のようなボーカルとコーラスや「糞がぁ」などネガテイブな歌詞が今作でのTHE BACK HORNの真骨頂という印象であった。「情景泥棒」から「情景泥棒 〜時空のオデッセイ〜」は一つの流れではあるがほぼ別の独立した楽曲である。前者はいかにもという感じのダサさが全体的にある。後者のは「がんじがらめ」に通じるような不穏さがあり後半のギターの爆音タイムが傑作である。シメは「光の螺旋」で、スピード感のある楽曲で途中のテンポダウンしたように感じるパートなどスピードをさらに感じさせる。全体的に今までの作風を打破するかのようなところがあるが根本的なところは何も変わっていない安心感がある。ライブを意識して制作したというだけあってライブでやってこそ映える曲がほとんどのようである。

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8.2/10.0

SECRETS「SECRETS」

2010年結成、カリフォルニア州サンディエゴ出身のポストハードコアバンドによる通算4枚目のフルアルバム。

 

スクリーム担当のボーカルとクリーン担当のボーカルがおり、今まで同様メリハリがはっきりとついているバンドという印象である。更に今作ではシンガロングができるようなパートが目立つ「Fourteen」や「Last Time」、また壮大なイントロから急発進しつつもポップスのような美しいメロディとスクリームの絡みが印象的な「Incredible」などメロディに重点がおかれている感じがある。その一方でくどくない程度のブレイクダウンやヘヴィなギターリフとサウンドといったように重さがアルバムに締まりを出している。特に中盤の「Five Years」は重さに重点がおかれている楽曲である。それでもメロディはしっかりとあるので、メタルコア系が苦手な人でも手を出しやすいと思う。また「Mouth Breather」ではDjentのような複雑なリフが途中見られる。その直後の疾走感溢れるイントロから始まる「Lost Cause」では今までの重さが嘘のような軽やかさでスクリームパートすらも美しいポップパンクとなっている。ポストハードコアの無骨なシンプルさも残しつつも重さと軽快さがある。

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7.5/10.0

2017年の個人的に良かったアルバム 20

20. Full of Hell 

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19. Ex Eye

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18. Julian Baker

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17. tricot

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16. ENDON

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15. Mutuid Man

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14. Storm of Void 

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13. Nepenthes 

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12. Phoebe Bridgers 

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11. Queens of the Stone Age

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10. The National 

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9. Amenra

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8. Godflesh

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7. Gary Numan 「Savage」

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6. Boris 「Dear」

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5. Cloud Nothings 「Life Without Sound」

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4. Mogwai 「Every Country's Sun」

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3. Converge 「The Dusk In Us」

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2. Brand New 「Science Fiction」

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1. heaven in her arms 「白暈」

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