ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

Amenra 「Mass VI」

1999年結成、ベルギーのコルトレイク産激情系ポストメタルバンドの6枚目のアルバム。

 

Isisのアーロン・ターナーはポストメタルを「thinking man's metal」と形容したがまさしく今作は思考する人間のメタルである。ひたすら真っ暗闇で前が見えないような音と悲痛なボーカルの叫びのような歌声が更に黒を黒たらしめている。今作のオープニングを飾る「Children of the Eye」は物静かな暗闇を想起させる暗いイントロが2分近く続いた後、一気にボーカルとギター、ベース、ドラムが爆発するように入ってくる。重厚なサウンドと同じリフを繰り返すのであるがそこから展開し、一筋の光がさすような優しい声のパートが一瞬ある。しかしそれすらも覆い尽くすほどの暗黒な演奏がまた始まる。初っ端から10分近くある長尺な曲であるが一瞬たりともダレることはない。「Plus Près de Toi」も長尺な曲ではあるが静と動があり、あっという間に終わってしまうような感覚がある。なんと言っても「A Solitary Reign」は優しく語りかけるボーカルとそのバックで轟音を奏でている楽器隊とそれとともに渦巻きながらリフの一部と化したかのような絶叫が印象的な珠玉の作品である。そしてクローザーの「Diaken」は11分超の楽曲である。これもまた激情的なボーカルとポストロック、ポストメタルのような音の壁が出現する楽曲である。決して疾走感があるわけではなく、どちらかと言えば遅さ、重さに比重があり、ノロノロと進んでいくのであるが痛みを表現した圧倒的な空気感に飲まれ一瞬のうちに全曲聴き通してしまうほどの熱量がある。約40分が一瞬にして過ぎ去る怪作。

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8.9/10.0