ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

killie 「犯罪者が犯した罪の再審始まる」

2018年発表、日本のアンダーグラウンドシーンで活動する激情ハードコアバンドの編集盤。

 

活動10年を迎えた彼らの、今まで小口発表してきて廃盤となった楽曲を再レコーディングし、未発表曲も含めたディスコグラフィーを兼ねたようなアルバムとなっている。激情ハードコアのように激しいボーカルであるが楽器陣はマスコア、カオティックハードコアのような複雑なフレーズを爆音で激しく歪ませながら塗り潰すように弾きまくっている。一切の妥協無く、徹底的にソリッドな音が最初から最後まで緊張感を生み、張り詰めた空気感のなか轟音をかき鳴らしながら駆け抜けていく。「犯罪者が犯した罪の再審始まる」という題のアルバムであり、表題曲は様々な犯罪者のニュースをサンプリングした曲でさらに最後の「六月」では世界大戦中の回顧録繋ぎ合わせたパートがある。聴く者に犯罪者とは罪とはということを考えさせる。裁かれた犯罪者と裁かれていない犯罪者の罪の再審は聴き手に任されているとも解釈できる。彼らの代表曲を中心を集めた編集盤といえどもコンセプトアルバムのような作品である。1,111円と格安で、アートワークもなく、しかも一筋縄ではいかないギミックがあるCDとなっている。激情ハードコア好きは手に入れておきたいアルバムだ。

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9.0/10.0.