ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

Svalbard 「It's Hard to Have Hope」

UK発の女性ギターボーカルによる激情系ポストハードコア、ポストメタルバンド2018年発表の2ndアルバム。

 

初っ端から最後まで息切れすることなく無給のインターン、リベンジポルノ、女性蔑視など社会に対する怒りのエネルギーに満ち溢れている。ブラックメタルのようにトレモロでひたすら弾き続けるギターと要所要所でツインを踏むバスドラ、ずっしりと響くベース、空気を切り裂いてくるようなボーカルが一丸となって押し寄せてくる。曲名からメッセージ性が強い2曲目の「Revenge Porn」は6分を超す少し長めの楽曲であるが、展開に緩急があるため不思議と長く感じない。途中優しく語り掛けるようなボーカルは荒天のなかに差し込む太陽の光のような温かさがある。また続く「Feminazi?!」では疾走感のあるビートで曲を牽引し、ツインで踏まれるバスドラが焦燥感を煽る。時折ハードコアやメタルだけでなく、浮遊感や空間を音で埋め尽くし、音の壁を作る要素などポストロックやシューゲイザーなど様々なジャンルを吸収し、一か所にとどめることができないアルバムとなっている。最後の「Iorek」は温かく包み込むようなインストとなっており、ただ怒りと絶望だけでなく、その先の世界を見据えたような終わり方となる。ボーカルであるSerena自身、ハードコア・メタルシーンにおいてハラスメントに苦しんできたとインタビューで語っており、その過去がこのアルバムの怒りの温度を上げている一因となっている。女性ボーカルだからという先入観などを持つことなく、Svalbardというバンドの曲として、アルバムとして聴いてみるべきアルバムである。

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9.1/10.0