ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

Teenage Wrist 「Chrome Neon Jesus」

2018年発表のLA出身のスリーピースバンドによるデビューアルバム。

 

90年代の様々なオルタナグランジ界隈やハードコア系統からの影響が感じられる。シューゲイザーのように轟音かつファジーなギターサウンドとダイナミックなドラム、そしてグランジのように気怠げなオルタナ調のメロディがジャケットにあるかのようなメランコリーな雰囲気を醸し出している。アルバムのオープニングを飾る表題曲の「Chrome Neon Jesus」では静かなイントロから強烈なファジーなギターサウンドが展開していき、途中日本語のポエトリーディングが曲の気怠げなメランコリーな雰囲気を更に加速させる。また「Swallow」ではディストーションの金属的な激しい熱いギターソロが魅力的である。ただ轟音というだけでなく「Supermachine」では静かなアコースティックギターもある。それにより激しいドラムと轟音が更に際立っている。シューゲイザーのような轟音だけでなくDinosaur Jr.のような図太いベースと感情的なギターソロ、スマパンDeftonesのようなファジーな音が心地よい。最近のオルタナバンドの中でも注目していきたいバンドの一つだと思う。

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8.7/9.0

THE BACK HORN 「情景泥棒」

2018年発表のインディーズ期以来となるミニアルバム。

 

不気味なジャケットとは打って変わってオープニングを飾る「Running Away」はマリンバの音がうまくハマっており、ベースを軸としながら疾走感のあるメロディが駆け抜けていく。「儚き獣たち」ではイントロのベースのタッピングによる高速フレーズやその後もうねるように暴れたり要所要所で静と動を使いわけ聴き手を興奮させるようなフレーズが多い。「閃光」では切なさが溢れるような歌詞がいかにも青春パンクっぽさがある。このミニアルバムの中でジャケットのような不穏で不気味な「がんじがらめ」はファンキーで軽やかなギターに呪術のようなボーカルとコーラスや「糞がぁ」などネガテイブな歌詞が今作でのTHE BACK HORNの真骨頂という印象であった。「情景泥棒」から「情景泥棒 〜時空のオデッセイ〜」は一つの流れではあるがほぼ別の独立した楽曲である。前者はいかにもという感じのダサさが全体的にある。後者のは「がんじがらめ」に通じるような不穏さがあり後半のギターの爆音タイムが傑作である。シメは「光の螺旋」で、スピード感のある楽曲で途中のテンポダウンしたように感じるパートなどスピードをさらに感じさせる。全体的に今までの作風を打破するかのようなところがあるが根本的なところは何も変わっていない安心感がある。ライブを意識して制作したというだけあってライブでやってこそ映える曲がほとんどのようである。

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8.4/10.0

SECRETS「SECRETS」

2010年結成、カリフォルニア州サンディエゴ出身のポストハードコアバンドによる通算4枚目のフルアルバム。

 

スクリーム担当のボーカルとクリーン担当のボーカルがおり、今まで同様メリハリがはっきりとついているバンドという印象である。更に今作ではシンガロングができるようなパートが目立つ「Fourteen」や「Last Time」、また壮大なイントロから急発進しつつもポップスのような美しいメロディとスクリームの絡みが印象的な「Incredible」などメロディに重点がおかれている感じがある。その一方でくどくない程度のブレイクダウンやヘヴィなギターリフとサウンドといったように重さがアルバムに締まりを出している。特に中盤の「Five Years」は重さに重点がおかれている楽曲である。それでもメロディはしっかりとあるので、メタルコア系が苦手な人でも手を出しやすいと思う。また「Mouth Breather」ではDjentのような複雑なリフが途中見られる。その直後の疾走感溢れるイントロから始まる「Lost Cause」では今までの重さが嘘のような軽やかさでスクリームパートすらも美しいポップパンクとなっている。ポストハードコアの無骨なシンプルさも残しつつも重さと軽快さがある。

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7.9/10.0

2017年の個人的に良かったアルバム 20

20. Full of Hell 

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19. Ex Eye

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18. Julian Baker

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17. tricot

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16. ENDON

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15. Mutuid Man

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14. Storm of Void 

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13. Nepenthes 

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12. Phoebe Bridgers 

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11. Queens of the Stone Age

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10. The National 

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9. Amenra

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8. Godflesh

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7. Gary Numan 「Savage」

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6. Boris 「Dear」

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5. Cloud Nothings 「Life Without Sound」

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4. Mogwai 「Every Country's Sun」

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3. Converge 「The Dusk In Us」

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2. Brand New 「Science Fiction」

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1. heaven in her arms 「白暈」

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Nepenthes 「Confusion」

日本のドゥームメタルバンドによる2017年発表の2枚目のアルバム。

 

元Church of MiseryのボーカルであるNegishiが中心となって率いるスーパードゥームメタルバンドである。ズッシリとした重たさのあるブルージーなリフやハードロックのようなリフなど重量級なリフが殴りかかってくる。またボーカルもやさぐれたダミ声が野蛮さと攻撃性を増している。また歌詞は日本語を中心としており、しかも古風な言い回しがトリップ感を強めている。1曲目の「Down in Your Funeral」は初っ端からフィードバックノイズで始まり、途中同じリフをずっと弾いたりするなどドゥーム、ストーナー感がバリバリ全面に出てきている。またギターソロもブルージーなソロで心地よい。一方で2曲目の「Burned and Buried」ではMotörheadのような重いのに疾走感のある前に倒れそうな勢いがある曲となっている。3曲目の「Reflections」はハードロックなリフなのだがどこか和の要素があり人間椅子のような感じがあるものの、ストーナー感は失われていない。4曲目の「Parallax」は重くうねりながら地を這うリフとボーカルが終始続く。5曲目の「Troubled Evocation」は猪突猛進していくアップテンポなハードコア・パンクな印象の疾走感のある曲である。そしてクローザーの「World Deceased」はオープナーと同様長尺のドゥーミーな遅く重い楽曲となっている。どの楽曲もライブで映えることは間違いないようなキラーチューン揃いのアルバムである。

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8.6/10.0

Code Orange 「Forever」

2008年結成、アメリカのメタリックなハードコアバンドによる2017年発表の3枚目のアルバム。

 

ただのハードコアではなく、ドゥームやスラッジ的な遅さも取り入れているのが特徴的である。またズンズンと低い重量のあるブリッジミュートのリフが凄まじい。走っていたと思ったら急に止まる。急に這いつくばって蠢き、そしておもむろに走り始めるといったのが繰り返されるとも言えるアルバムである。また曲間の不穏な音などただ実験的なだけでなくメリハリをつける役割を果たしている。アルバムでも暴力的な楽曲が続いたなかでメロディはポップな「Bleeding in the Blur」を挟んでアクセントとしている感じがある。ただメロディがポップというだけで低音の弦楽器と激しいドラムは変わらない。またNINのような不穏な電子音をハードコアに落とし込んだかのような「The Mud」といった曲もあり幅の広さがあるようである。また「Ugly」では生ぬるいようなイントロと気だるいメロディとサビでのポップさがグランジのようであり、ただのハードコアバンドではなく一筋縄ではいかないバンドであることがわかる。全体的に見ればメロディを放棄したような歌ばかりであるが、それぞれリズム工夫が施されておりそれぞれの楽曲が際立っている良作。そしてCode Orange is Foreverというまっすぐな歌詞もいい。

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7.5/10.0

Full of Hell 「Trumpeting Ecstasy」

ノイズやスラッジをも内包しているアメリカのグラインドコアバンドの2017年発表の3作目。

 

MerzbowやThe Bodyともコラボレーション作を発表している彼らであるためノイズ要素、実験要素が強めなのではないかと思うところがあるが、今作ではグラインドコアの爆速で冷徹なわずか2分前後の楽曲を中心にして駆け抜けていく。アルバムに収録されている楽曲数は11曲であるがトータルの時間はわずかおよそ23分という短時間であることからもグラインドコアの教科書のようである。極悪なブラストビートやノイズギリギリのギターサウンドでザクザクと刻むリフが凄まじく、冒頭の3曲はまとめて1曲のような破壊力のある暴力装置である。全体的に曲の初っ端から聴き手のことを一瞬で殺しにかかってくるような姿勢の楽曲で占められている。また不穏な声の入りから曲を始めたり、曲の中盤テンポダウンしてスラッジなリフを弾くなどアプローチの仕方も様々である。表題曲の「Trumpeting Ecstasy」ではノイズの中に浮かび上がる女性ボーカルがこの世のものとは思えない不気味さを醸し出し、それに加えて破壊的な展開がこのバンドの得意でもあり特異なところなのだろう。

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7.5/10.0