ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

Full of Hell 「Trumpeting Ecstasy」

ノイズやスラッジをも内包しているアメリカのグラインドコアバンドの2017年発表の3作目。

 

MerzbowやThe Bodyともコラボレーション作を発表している彼らであるためノイズ要素、実験要素が強めなのではないかと思うところがあるが、今作ではグラインドコアの爆速で冷徹なわずか2分前後の楽曲を中心にして駆け抜けていく。アルバムに収録されている楽曲数は11曲であるがトータルの時間はわずかおよそ23分という短時間であることからもグラインドコアの教科書のようである。極悪なブラストビートやノイズギリギリのギターサウンドでザクザクと刻むリフが凄まじく、冒頭の3曲はまとめて1曲のような破壊力のある暴力装置である。全体的に曲の初っ端から聴き手のことを一瞬で殺しにかかってくるような姿勢の楽曲で占められている。また不穏な声の入りから曲を始めたり、曲の中盤テンポダウンしてスラッジなリフを弾くなどアプローチの仕方も様々である。表題曲の「Trumpeting Ecstasy」ではノイズの中に浮かび上がる女性ボーカルがこの世のものとは思えない不気味さを醸し出し、それに加えて破壊的な展開がこのバンドの得意でもあり特異なところなのだろう。

f:id:tortillarhcp:20171217180445j:image

7.5/10.0