ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

SWARRRM/killie 「耐え忍び霞を喰らう」

2017年発表のスプリット。2018年にセカンドプレスされた。

 

SWARRRMではアルバム『こわれはじめる』にも収録されている『愛のうた』と『あなたにだかれ こわれはじめる』が収録されている。騒々しいグラインドコアの演奏の中で歌謡曲のようなメロディーを唸りながら歌う。

一方killieの方は、『お前は労力』と老人の仕事とも関わりのありそうな名前の11分超の長尺曲となっている。途中SleepのようなDoomで煙たいなリフを挟むなど老人の仕事でみせたSleep愛がここにもあるようである。歌詞は激しく労働体制を批判するかのような鋭いものであり、ハマる人と絶対に受け付けられない人とがはっきりと分かれるような過激な歌詞である。特に途中の「通勤電車に闘志は燃えているのか」や最後の語りの部分の「生きるために犠牲は必要だそもそも人口が多いんじゃないか?お前が弾き飛ばして殺した貧乏人」など強烈な歌詞がそろっている。ただ「福島に咲き誇る桜」など微かに未来に期待するかのような歌詞がちりばめられ、ただ絶望だけを歌ったわけではないような不思議な魅力があふれた歌である。

わずか3曲のみの収録で3,000円のLPであるが、これを安いと思うか高いと思うかは聞いてからではないと判断できない代物である。

8.7/10.0