ユンボにまたがって

聴いた音楽の感想等々

マグダラ呪念 「人外奇譚」

2018年発表の10年ぶりの3rdアルバム。

 

日本のドゥームバンドである彼女らの10年ぶりの新作はサバスのようなヘヴィなサウンドをより重く遅くし、それにノロノロとおどろおどろしい和のメロディがついている。一見人間椅子かのような表現であるが、人間椅子は軽やかさがあり、歌舞伎や浄瑠璃のような日本の伝統文化を下地にした雰囲気がある。一方マグダラ呪念は四谷怪談のような気味の悪い、不気味な庶民に根付く土着文化を下地にした趣がある。特に16分を超す長尺曲の「羅生節」では三味線を弾いており、それに加わるベースとドラムがより曲の不気味さを醸し出している。また、「かたわのこひわずらひ」は人間椅子の不気味な雰囲気を持ちつつも、一層の泥臭さと江戸川乱歩の小説のような気味悪さがある。一方で「憂国」といったようなハードコア的疾走感を伴った楽曲もあり緩急がある。基本的に徹底的に重く、遅く、不気味な雰囲気を纏ったアルバムである。サバスらに始まるドゥーム文化であるが、彼らは悪魔・黒魔術的な文化を背景としている。また人間椅子は仏教、文学作品、伝統芸能の作品といった日本の伝統文化を背景とし、ハードロック等との融合をしている。その一方でマグダラ呪念は妖怪や幽霊、怨霊のような土着文化、民俗文化を背景としているのがはっきりと伝わるアルバムだ。ただただ気味が悪いアルバム。

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7.2/10.0